犯罪白書に見る窃盗の現状

平成26年版の犯罪白書が発刊されました。侵入窃盗の認知件数はピークの平成14年に比較して、三分の一の11万件と減ってきています。

侵入窃盗.fw日本は、犯罪の少ない安全な国と言われていますが、これをどう捉えるかは、微妙ですね。確かに諸外国と比較すると人口10万人当たりの犯罪件数はピカイチですが、それでも全国では、侵入窃盗だけみても1日に300件近い事件が起きています。なお、万引きは、侵入窃盗と同レベルの件数ですが、これは実態と少しかけ離れています。万引きの検挙率が高いのは、捕まったのは見つかったためという万引き特有の結果で、犯人が特定できない状況で警察に被害届を出すこと(=認知件数)が少なく、統計の結果は、氷山の一角としての現象を示すだけとなっているからです。実際の万引きの件数は、はるかに多いと言われていて、警察庁の推計値では、被害の全体は4000億円を超えるそうです。

さらに、今回の犯罪白書でテーマとなっているのが、窃盗の再犯です。犯罪全体の認知件数が減少している中で、窃盗の再犯が増加傾向にあり、問題となっています。

侵入窃盗の再犯率が高い背景として、更生の環境が整い難いことと、犯行着手のハードルが低いため、一部が言わばプロ化している実態があります。そういったプロにとって刑務所は、同業者からの情報収集によるレベルアップの場ともなっているようです。

また、万引きに関しては、年配者による再犯の傾向が高く、背景として、生活困窮によって累犯化していくことがあげられています。そういった人々にとって刑務所は、衣食住の揃った別荘として、生活の場ともなっているということのようで、窃盗の件と併せて、その対策が今回の犯罪白書のテーマとなっています。

再犯率.fw