特殊詐欺~増え続ける背景~

特殊詐欺被害金額・検挙率推移振り込め詐欺(オレオレ詐欺)と、金融商品取引やギャンブル必勝法等を名目にした詐欺を併せて特殊詐欺といいます。この特殊詐欺の被害金額が昨年は556億円となり過去最高を更新しています。これだけ世の中に手口が知れ渡り、その防止がこれだけ叫ばれているのに、なぜ被害は増え続けているのでしょうか。核家族化の進行による高齢者の一人世帯の増加を背景として、他人には迷惑をかけたくないというような、高齢者の昔気質な心理の隙をついた手口の横行と、高齢者にはあまり馴染みのないATM振込やレターパック等のサービスの悪用があります。また、携帯電話を使うことにより、警察に追求される恐れが少ないことも大きなポイントで、何よりも、増加する犯罪に対して検挙率が上がらず、逮捕しても末端の金銭受渡しに係る雑魚ばかりという実態がそれを如実に物語っています。併せて、インターネットの普及により、舞台仕掛け作りが手軽になってきていることも理由として挙げられると思います。豪華なパンフレットだからしっかりした会社かと思うと、ネットで印刷を注文すると数万円で出来てしまうものなのです。だからこんなものがあるのです。コストとリスクが少なく儲けが大きい美味しいビジネスモデルとして、新規参入は増え続け、手口の新規開発で被害者も増え続けています。その極め付けとして、金融商品、会員権、調査費、被害回復等の名目で複数の役者が登場する巧みな舞台回しの劇場型詐欺があります。手の込んだものは、株式会社として登記して、振込用の銀行口座もあります。少しでも実態があれば、詐欺かどうかは、簡単には見分けがつきませんし、警察も直ぐには手が出せません。単純なオレオレ詐欺から始まったこの業界ですが、資本の蓄積によって、設備投資が可能となり、ノウハウの蓄積もあって舞台仕掛けが高度化してきていますので要注意です。