特殊詐欺~その対策について~

特殊詐欺被害者性別年齢別構成特殊詐欺被害者は、60才以上の方の比率が85%にもなり、その中でも女性の割合が多く、8割以上を占めています。「未公開株」、「連帯保証」、「名義貸し」、「弁護士」、「警察」、「金融庁」に「社会保険庁」等々、馴染みのない専門用語と権威で、一気に追い込み始めます。慌てたら思う壺です。大半の人が自分は大丈夫と思っているから、「詐欺に引っかかるな」という助言は何の意味もありません。また、ATM引出限度額設定の変更という方法もありますが、引っかからないと思っている人には面倒なだけです。なんで、息子の声が分からないのかと言われても、電話は周波数帯域を絞っているため、音声再現性が悪く、どの声も似て聞こえるのはしょうがないのです。本人と思い込んでいたら、わざわざ仕事先にまで電話して確認はしないでしょう。

【緊急にお金が必要という連絡に対して】

 家族に限らず、誰かに相談できることが大切です。本当に誰でもいいんです。適切なアドバイスがあるかもしれませんが、重要なのは、他の人に説明するため、自分の頭の中で整理する必要があるので冷静になれることです。

【お金を振り込む場合】

最近は、対策が進み、特殊詐欺における振込の利用は約1割と激減しています。でも、安心は禁物です。年配の方の窓口での送金は、金融機関も気を付けていますが、ATMでサクサクと誰にも相談できずに送金したら、限度額の範囲内ですが、打つ手が無いのが実情です。そういう状況にならないように、前もって周囲が気を付けてあげる必要があります。

【お金を用意する場合】

記名式線引預金小切手現金は盗難に遭うかもしれません。「記名式線引預金小切手」を使えば、大金を持ち歩く必要が無く安全です。振出人は銀行ですので、信用度は現金と同じです。また、記名人(=あなたの意図した人・法人)の銀行口座を通じてしかお金が支払われませんので、代わりに弁護士が取りに来る等の他人のなりすましが通用しません。相手が、「小切手」はダメと言ったらその段階で、詐欺です。あまり馴染みのない難しい名前は覚えなくても大丈夫です。金融機関で、預金を引き出す際に「小切手で」と言って手数料(540円~864円)を払えば作って貰えます。大金は「小切手」ということを、身近な高齢者の方に徹底出来れば、かなり被害を減らすことが出来ます。

静岡県では「預手プラン」と称して、75歳以上の高齢者が、金融機関で300万円以上の出金をする際には、原則、「記名式線引預金小切手」を窓口で薦め、拒否された場合に、不審な点があれば、警察に通知し、一緒に説得を図るというもので、これで昨年、140件4億円以上の被害を防いだそうです。なかなか良いアイデアだと思います。段々この取り組みは広まってきているようです。